分かちあう事、そして共感できる仲間が私達にできて心より感謝

薬物依存症のタケヤンです。

私は17歳からシンナー、覚醒剤他色々な薬物を使用しながら生きてきました。

薬を使いだした目的は好奇心からですが、歳を重ねるごとに使い方が変化し、その年齢に合わせて薬は私に対して様々な事をコントロール不足にしていきました。今もなお、クリーンでいても自分自身をコントロールできない様に操り、精神的にも肉体的にも不自由を感じ、苦しい、辛い、と思う時間が一日に何度も襲ってきます。そんな状況に陥ると、自分を取り戻すのに必死になり、疲労困憊してしまいます。不眠症にも悩まされ、うまく眠れない夜は不安と戦って疲れ切ってしまいます。精神薬や睡眠薬を服用しても効果がないと感じることが多い為、困り果てている状況の中で日々生きています。

それでも私は今回が薬物を断つための最後の与えられたチャンスだと思っています。 また薬物を使う自分に戻り、自分自身をコントロール不可能にするのか、回復のチャンスを手放さずにコントロールできるようになるのか・・・。少なくともこのニュースレターを木津川ダルクのタケシさんに頼まれて受けたという事は、頼まれたから書くというより、今の私の気持ちを文字にすることにより、自分自身を見つめ直すチャンスを手渡してくれたと受け止めており、心より感謝しています。

うまく皆様に私の今の心境が伝わるか分かりませんが、クリーン4カ月の私の今を少しでも共感していただけたら幸いです。

私は覚醒剤において6度の逮捕を繰り返し、今回6度目の逮捕の後、実刑2年、執行猶予5年、保護観察付きの処分を受けている最中です。今は木津川ダルクに通所しながらNAにつながり、ミーティングに参加して回復に向けて日々の生活を送っています。

今まで3度の服役を繰り返す中で、薬物更生施設の事を知ってはいましたが、薬物依存者の集まりの中に入って更生に向けていく事は私にとっては理解できず、そんな所へ行かなくてはならないほど自分自身は落ちぶれていないし、そんな所へ行っても逆にまた薬が欲しくなったり、悪い付き合いが始まって大した効果も得られない、と決めつけていたのでまったく興味が湧きませんでした。そんな状態の中で今日まで薬を使用し、逮捕され、服役を繰り返していく生活でした。仕事は大型車に乗りながら生計を立てていましたが、薬を使用しながらの仕事だったため長続きしなかったり、仕事に対しての一番の後悔は、自ら自営として立ち上げた会社を潰し新築の一軒家を手放し、一家離散になってしまった事です。失ったものは他にも数え切れませんが、すべてにおいて薬物を使用していた事により起きた出来事だと自覚するに到っております。

3度の離婚を繰り返し現在の妻と22年の結婚生活を送っていますが、出会った時から今日まで妻と共に覚醒剤を使用しながらの生活を送り続け、今回私が6度目の逮捕にして妻も一緒に逮捕されるという、恐れていた事態が起きてしまいました。いつかはこうなると分かっていたのに薬をやめられずに過ごしていたのですから、家族・友人・知人に最大の絶望と信用・信頼を失う事も与えたのは言うまでもありません。後悔などという言葉は私達夫婦にはおこがましい言い訳でしかなく、後悔をしたと言い訳するつもりはありません。友人に私達は崖っぷちではなく、崖から落ちてると言われて返す言葉もありませんでした。

今回、保護観察という処分をいただき、観察所から市が行っている薬物更生プログラムに参加してみてはどうですか?と言われました。今回は夫婦二人での逮捕でしたので、今までの様に私一人ならその言葉の真剣な受け止めも浅かったと思いますが、今回は心から薬をやめなくてはならない、と妻と心に決めたので私はこのプログラムに参加しようと決めました。プログラムに参加して私の心がざわつきました。みんな楽しく過去の話や今の心の変化、そして伝わりやすく仲間同士で語り合い、初対面の私に対して何の壁もなくすんなり受け入れてくれ、私の話を真剣にそして共感しながら聞いてくれました。

そしてプログラムが終わった時に声をかけてくれたのが、今私が通所している木津川ダルクの施設長のタケシさんでした。気さくな感じに「今どこかに繋がっていますか?」と言ってくださり、何も分からない私に一度私の施設に来てみませんか?と声を掛けて下さりました。その言葉により後日、木津川ダルクに訪れました。そして私の身の上話をすると、タケシさんは、自分自身が回復する気持ちがあるのならこの施設に足を運んで下さい。そして私に「あなたは実刑にならないし、執行猶予になるし助かります。実刑に行っているよりも施設に通った方が1日も早く回復に向かって歩けますし、他にも回復への道がたくさんありますので、NAのミーティングにも通ってみて下さい。お金も要らないし、あなたが回復したい一心で行動すれば、今までどうにもならなかった事が一つ一つ解決していきます。」と言って下さりました。こんな私に困った顔一つ見せずに話を聞きながら受け答えて下さった事が今も忘れられません。

それから私は施設へ通所しNAミーティングの参加が始まりました。私の裁判に対しての上申書をタケシさんが書いて下さり、裁判当日には、タケシさんをはじめたくさんのNAの仲間がわざわざこんな私の為に、裁判所に足を運んでくれたこ事に無償の愛と優しさを感じました。感謝の気持ちで一杯です。

今、執行猶予5年、保護観察処分、クリーン4カ月です。今までの私達夫婦には4カ月薬をやめる事の出来なかった日数です。これほどダルクやNAミーティングのおかげでクリーンが保たれて健全に生活していられることに喜びを感じています。

今は薬を止められたとは思えませんが、今日だけで精一杯の私達ですが、NAミーティングに参加し続けつながり続けたいと思う気持ちは、回復に向けて歩いている事の証です。

木津川ダルクのタケシさん、ダルクの仲間、NAの仲間が私達を心から受け入れてくれている事が今、私達がクリーンでいられる大きな助けとなっています。まだNAの原理やステップについては理解に欠く所はありますが、ミーティングに通い続けていればクリーンでいられる事は本当だと思います。私たちには最高の治療法なのです。この先、夫婦二人でクリーン生活を続け、タケシさんにこの姿を見て喜んでいただきたいと思っております。分かちあう事、そして共感できる仲間が私達にできて心より感謝しています。

ありがとうございました。

アパリ東京本部ニュースレター

生活保護で薬物依存症からの回復支援 ~カズと母さんの奮闘記~|更生のための刑事弁護を目指す弁護士西谷裕子のホームページより

今回は、母と一緒に生活保護を受けていた男性が、覚せい剤使用で逮捕されたけれど、ダルクに入所して回復支援に取り組むことを条件に保釈を受け、保釈中も生活保護の支援を受けて、回復軌道に乗った事例をご紹介します。

辛い過去があって、薬物依存症に陥り、苦しんでいた中で、保釈中も生活保護を受けて、回復軌道に乗っていった画期的なケースなので、是非ご紹介したいと思います。

ちなみに、このケースは「執行猶予中の再犯の事例」の事案で、言い渡された判決は「一部執行猶予判決」でした。

生活保護で薬物依存症からの回復支援 ~カズと母さんの奮闘記~|更生のための刑事弁護を目指す弁護士西谷裕子のホームページより|リンク

 

東アジア薬物依存者回復支援者(DARS)養成セミナーのご案内

2019年2月23日(土)・ 24日(日)各日10:00~17:00を予定

開催地:龍谷大学深草キャンパス・紫光館4階法廷教室 (京都市伏見区深草塚本町67)

主催 :薬物依存者回復支援(Drug Addicts Recovery Supports:DARS)、龍谷大学犯罪学研究センター(CrimRC)

わたしたちは、この30 年余りの間、欧米の薬物対策モデルを導入し、民間主導の回復支援スキームを展開してきました。このような民間団体による回復支援のスキームを、東アジア地域でも展開するため、このたび、「東アジア薬物依存者回復支援者(DARS)養成セミナー」を開催することになりました。

ともすれば、内向きになりがちな回復支援活動を国際化するためのキック・オフと位置づけています。たくさんのご参加をお待ちしております。

セミナー参加費 資料代5,000円 懇親会3,000円
参加申し込みサイト:https://goo.gl/forms/OFsfINWCuIyXE8753

龍谷犯罪学研究センターWebページ
https://www.ryukoku.ac.jp/nc/event/entry-3017.html

〈第1日目〉10:00開始
開会の挨拶
【企画の趣旨】
「日本の薬物政策の現状と課題 〜官主導? 民主導? それとも、その間か? 〜」
石塚 伸一 (龍谷大学犯罪学研究センター長)

【日本における市民主導の回復支援】
「ダルクの過去,現在,未来」 市川 岳仁(NPO法人三重ダルク代表)
「薬物裁判におけるアパリの活動」 尾田 真言(NPO法人アパリ 事務局長)
「刑務所における薬物治療」 谷家 優子(姫路少年刑務所 カウンセラー/大阪心理教育センター カウンセラー)
「回復における家族の役割」安髙 真弓(日本社会事業大学大学院 研究員)
「地域の医療・福祉における回復支援の現在」西念 奈津江(岡部診療所 ソーシャルワーカー)
「受刑経験者の回復支援」 五十嵐 弘志 (NPO法人マザーハウス 代表)

【東アジア地域における市民主導の回復支援】
「タイにおける薬物政策」 プラパプン・チェチャロエン(タイ・マヒドン大学教授)
「フィリピンにおける薬物政策」レニール・クリストバル(ファミリー・ウエルネス・センター代表)
「ネパールにおける薬物政策」スーヤス・ラジャハンダリ(ザ・リカバリング・グループ)
「台湾における薬物政策」任 國華(財團法人中國信託反毒教育基金會)
「韓国における薬物政策」チョー・スンナム(乙支大学 医師)
「日本における薬物政策」ディビッド・ブルースター(龍谷大学犯罪学研究センター 博士研究員)

【懇親会(有料)】

〈第2日目〉10:00開始
【東アジア地域における治療プログラム】
「条件反射制御法の理論と実践」 長谷川 直実(デイケアクリニックほっとステーション 院長 医師)
「日本におけるマトリクス・プログラムの展開」原田 隆之 (筑波大学 教授 臨床心理士)
「日本における12ステップとNA」加藤 武士(NPO法人アパリ・ウエスト/木津川ダルク 代表)
「日本におけるプロイエクト・オンブレの展開」近藤 京子(PHJ設立準備委員会 代表)
「タイにおける薬物治療」チャンチャイ・トングプラニット(タンヤラックコーンケン病院 医師)
「フィリピンにおける薬物治療」
マリアノ・ヘムブラ(ドン・ホセSモンフォート・メディカル・センター・エクステンション病院 医師)
「韓国の薬物治療」チョー・スンナム(乙支大学 医師)

【“えんたく”で分かち合う共通の課題〜アジアの回復支援の未来〜】
司会:土山 希美枝 (龍谷大学 教授)
ファシリテート・グラフィック:塩見 牧子 (龍谷大学犯罪学研究センター 嘱託研究員)
中村 正 (立命館大学 教授)
近藤 恒夫 (日本ダルク 代表)
原田 隆之 (筑波大学 教授 臨床心理士)
プラパプン・チュチャロエン (マヒドン大学アディクション研究修士課程プログラム 所長)
カンニカー・シッティポン(タンヤラックコーンケン病院 臨床心理士)
ベンジャミン・レイヤス(デンジャラス・ドラッグ・ボード)
長谷川 直実 (デイケアクリニックほっとステーション院長 医師)
大熊 啓介(NPO法人マザーハウス スタッフ)
猪浦 智史(国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 研究員)
松浦 良昭(三河ダルク 代表/ソウルダルク 代表)

【閉会式】

研究助成:
国際交流基金アジア・市民交流助成プログラム
JST/RISTEX(社会技術研究開発事業)「安全な暮らしをつくる公/私空間の構築「多様な嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築」(ATA-net)
文部科学省私立大学研究ブランディング事業「新時代の犯罪学創生プロジェクト~犯罪をめぐる「知」の融合とその体系化~」
協力:NPO法人アパリ、木津川ダルク

お問合せ: 龍谷大学 犯罪学研究センター (CrimRC)〒612-8577 京都市伏見区深草塚本町67
龍谷大学 研究部(人間・科学・宗教総合研究センター)
TEL 075-645-2184  FAX 075-645-2240
E-mail crimrc2016@ad.ryukoku.ac.jp
WEB https://crimrc.ryukoku.ac.jp/

本セミナーは、龍谷大学創立380周年を記念し、薬物依存者回復支援(DARS)と龍谷大学 犯罪学研究センター(CrimRC)が主催し、多くの関係団体・個人のご協力を得て実施するものです。

東アジア薬物依存回復支援専門家養成セミナーチラシPDFファイル