第18回 薬物依存回復支援者研修セミナー DARS in 東京

第18回 薬物依存回復支援者研修セミナー DARS in 東京
「刑の一部執行猶予1年〜刑務所を選びますか? それとも、社会を選びますか?〜」

【企画の趣旨】
過剰拘禁対策として提案され、刑務所(施設内処遇)と保護観察を繋ぐ新たな処遇システムとして注目された「刑の一部執行猶予」も、施行された一年。そろそろ、社会に戻ってくる人たちが出始めています。

当初、その実施には抵抗があるのではないかとも予想されたこの制度ですが、最高裁のまとめによると、2016年6月から2017年5月末までに一部執行猶予が言い渡された被告の罪名別の主な内訳は、覚せい剤取締法違反1442人、窃盗51人、大麻取締法違反34人、麻薬取締法違反7人(複数の罪を犯した場合は最も重い罪で集計)で、薬物事件が1490人、全体の93%を占めています。覚せい剤取締法違反で実刑判決を受ける被告人は、現在、年間約5800人ですから、同法違反で実刑判決を受けた人の約4分の1にこの制度が適用されたことになります。(『毎日新聞』2017年6月29日東京朝刊)

わたしたちDARSは、これまで薬物依存者の回復支援者セミナーを開催し、18回目になります。今回は、施行1年の一部執行猶予制度の現状を知り、課題と未来を考えたいと思います。

【日 時】
2017年11月18日(土)13:00〜17:00
17:30~ 懇親会(有料)
19日(日)10:00〜15:00

【場 所】
TKC東京本社2階研修室A・B・C
東京都新宿区揚場町2-1 軽子坂MNビル2F
(アクセス)JR飯田橋駅より徒歩5分
<地下鉄>有楽町線、東西線、南北線、大江戸線 飯田橋駅 B4b出口すぐ
地図

【プログラム】
〔第1日目〕シンポジウム
「刑の一部執行猶予1年 〜刑務所を選びますか? それとも、社会を選びますか?〜」
○石塚伸一(ATA-net代表 龍谷大学法学部・教授)
「刑の一部執行猶予とはなにか?」
○ 西原実(京都保護観察所・保護観察官)
「一部執行猶予中の保護観察の現状と課題」
○ 松本俊彦(国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長・医師)
「保護観察の対象となった薬物依存症者の調査システムについて」
○ 市川岳仁(三重ダルク代表・精神保健福祉士・保護司)
「一部執行猶予者の受入れの現状と課題」
○ 近藤恒夫(日本ダルク代表)
「刑務所と社会の“間(はざま)” 〜刑務所か? それとも、社会か?〜」

〔第2日目〕 アディクション“えんたく”(フォーカス・グループ)
「刑務所と社会の“間”を考える」
司 会:土山希美枝
発言者:田村勝弘(法務教官)、西原実(保護観察官)、西村直之(RCPG・医師)、加藤武士(木津川ダルク)、西谷裕子(弁護士)、そのほか受刑体験者のみなさん

【参加費等】
2日参加:一般5,000円;学生・大学院生2,500円
1日参加:一般3,000円;学生・大学院生1,500円

申し込みページ

*あらかじめ参加を申し込み、全プログラムに参加した方には、DARSの修了書を発行致します。

【主催】
DARS(Drug Addicts Rehabilitation Supports)
科学技術振興機構(JST)「安全な暮らしをつくる新しい公/私領域の構築」社会技術研究開発(RISTEX)研究開発領域・戦略的想像研究推進事業「多様化する嗜癖・嗜虐行動をめぐるトランス・アドヴォカシー・ネットワークの構築とその理論化」(代表・石塚伸一)

【後援】
龍谷大学矯正・保護総合センター刑事法未来PJ/株式会社TKC

お問合せ:0774-51-6597

RISTEX「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築」領域
多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワークの構築(ATA-net)
ATA-net(代表・石塚伸一)
JST

概要
アルコール・薬物への依存、DVや虐待、性暴力、ギャンブル、万引き・摂食障害、インターネット依存などの多様な嗜癖(しへき)・嗜虐(しぎゃく)行動(アディクション)の背景要因には「孤立」があり、これに対応するには、「公」と「私」の領域を超える支援モデルが不可欠です。しかし、現状では、公的支援間の分断のみならず、処罰への過信、自己責任論による当事者の孤立、家族への責任転嫁などが蔓延し、適切な支援が行なわれていません。

本プロジェクトは、多様化する嗜癖・嗜虐行動を新たな視座の下で再定義し、「アディクション円卓会議」(“えんたく”)により、当事者と支援者の間に課題をめぐる関係性を醸成することで、「公」と「私」の間にあらたな公共圏として「ゆるやかなネットワーク」の構築を目指します。

お問合せ:0774-51-6597

 

茨木市人権学習会を終えて

昨日は、茨木市人権学習会での講演をさせていただきました。
参加者は少なめでしたが、質疑応答の時間も押すことなくさまざまなご質問にも答えることができました。

少しづつ依存者の回復を支えられる地域社会になっていく事を願っています。

茨木市ではこれまでも何度か呼んでくださっておりありがたい限りです。

当日資料
2017.09.13_茨木人権学習会_印刷用6_2

経済的格差が裁判での権利格差を生んでしまっている

今日の大阪地裁の裁判は珍しいケースだった。

生活保護を受けていた被告人に親戚が保証金を出して全国弁護士協同組合連合会から保釈金を借りて、保釈を取り、木津川ダルクに入所、生活保護の受給を受け裁判を受けました。

しかし、この保証金を用意できない被告人が圧倒的に多い。
経済的格差が権利まで奪われることのないようなケースが増えることを期待しています。

経済的格差が裁判での権利格差を生んでしまっている状況は良くありません。

刑務所を出所してから治療やリハビリを受ければ良いという事も言われますが、それでは効果が低くなってしまいます。
また、病気や障害を持つものが受刑するということは、治療を受ける権利やリハビリを受ける権利も奪わられるという二重の罰が課せられる事になります。

刑務所での矯正教育というのは幻想だと思っています。
受刑で矯正教育が成功しているのではなく、逮捕後、再犯を犯さないものは、逮捕や裁判にかけられることによって、身近にいる健康的な他者とのつながりのなかで問題の本質と向き合えたものが再犯を繰り返さずにいると思います。

再度の執行猶予保護観察付きが一番良い選択だとは思うのですが、裁判長の英断はあるのだろうか?!

全国弁護士協同組合連合会の保釈保証書発行事業とは、貧富の差による不平等をなくし、被告人の人権を守るための事業です。

逃亡や証拠隠滅の可能性が低く保釈可能な被告人でも、保証金が用意できなければ、身体を拘束され続けるしかありません。全弁協の提唱する保釈保証書発行事業では、担当弁護人の申込に基づき全弁協が保証書の発行を行い、万一の際の保証金の支払いは全弁協が行います。組合がリスクを負うことで弁護人個人へのリスクをなくし、「保証書による保釈」を機能させ、資金の乏しい被告人にも平等に保釈の機会を与えるのがこの事業の狙いです。