経済的格差が裁判での権利格差を生んでしまっている

今日の大阪地裁の裁判は珍しいケースだった。

生活保護を受けていた被告人に親戚が保証金を出して全国弁護士協同組合連合会から保釈金を借りて、保釈を取り、木津川ダルクに入所、生活保護の受給を受け裁判を受けました。

しかし、この保証金を用意できない被告人が圧倒的に多い。
経済的格差が権利まで奪われることのないようなケースが増えることを期待しています。

経済的格差が裁判での権利格差を生んでしまっている状況は良くありません。

刑務所を出所してから治療やリハビリを受ければ良いという事も言われますが、それでは効果が低くなってしまいます。
また、病気や障害を持つものが受刑するということは、治療を受ける権利やリハビリを受ける権利も奪わられるという二重の罰が課せられる事になります。

刑務所での矯正教育というのは幻想だと思っています。
受刑で矯正教育が成功しているのではなく、逮捕後、再犯を犯さないものは、逮捕や裁判にかけられることによって、身近にいる健康的な他者とのつながりのなかで問題の本質と向き合えたものが再犯を繰り返さずにいると思います。

再度の執行猶予保護観察付きが一番良い選択だとは思うのですが、裁判長の英断はあるのだろうか?!

全国弁護士協同組合連合会の保釈保証書発行事業とは、貧富の差による不平等をなくし、被告人の人権を守るための事業です。

逃亡や証拠隠滅の可能性が低く保釈可能な被告人でも、保証金が用意できなければ、身体を拘束され続けるしかありません。全弁協の提唱する保釈保証書発行事業では、担当弁護人の申込に基づき全弁協が保証書の発行を行い、万一の際の保証金の支払いは全弁協が行います。組合がリスクを負うことで弁護人個人へのリスクをなくし、「保証書による保釈」を機能させ、資金の乏しい被告人にも平等に保釈の機会を与えるのがこの事業の狙いです。

『何やねんここ…。ええ奴やん』

私はどうしても薬が止まらずにずるずると使用を続けておりました。今回で覚せい剤事犯は3回目で、今の状況は保釈中の身であります。刑務所には1回行っており、4年間服役して出所して約2年目になるところです。

出た時には地元の友人が出迎えてくれて、もう薬はしないと決め、4年間という無駄な時間を取り戻すために頑張ろうと思いました。そして1週間くらいで好きな仕事ではないですが働きはじめ、薬のない日常を送っていたのですが、昔の売人仲間から『もう一回やってみいひんか?』と誘いがありました。
その時はすごく悩みましたが、女性とのトラブルもあって売人と再使用してしまいました。

半年が経ち所持と使用で捕まってしまったのです。
関係者から名前が出てガサ入れにあって留置所行きです。そして起訴されました。何とかこの状態から出たくて、木津川ダルクに行くことを条件に保釈を認めてもらい入所することになるのです。

施設に到着したのが夜の10時頃でした。そして仲間と挨拶を交わした時に『何やねん。ここ変な奴ばっかやんけ』と思いました。でものちにその仲間とも心が通じ合うことになるので
す。個人個人と話していくうちに『えー奴やん』と思ったり、相談し合える仲間になっていくのです。

ダルクでのプログラムは1日2回のミーティングとNAとい
う自助グループのミーティングです。計3回のミーティングをする事になるのです。そこには自分の事を吐き出す事、人の話を聞く事で分かちあっていく大切なものがありました。

今までそういうことを言えることって無かったので、誰かに
聞いてもらうことがこんなに素敵な事だとは思いませんでし
た。初めてNAに参加したのが誰かのバースデーで、こんなに薬
を止めていく仲間がいて皆で祝うことで幸せな感情になれるこ
とを知りました。たった1時間のミーティングですが、1時間、1時間半かけて行くことが自分にとって大切なことだと思いました。

木津川ダルクの生活は楽ではありません。施設のことを仲間
で分かち合って、洗濯、掃除、食事作りをやっていき、その中
で回復に繋がっていくように思えています。1つ屋根の下で、皆で生活することは簡単なことではありません。でもそこに互いを思う気持ちや、薬を止めていく仲間との分かち合いは他では中々無いように思います。

私はこの先、刑務所に行くことになるのですが、出所したの
ちに必要なもの、私の新しい生き方であるのは間違いないと
思っています。

そう気付いたことが自分にとって本当に良かったと思ってい
ます。

しのぶ
アパリ東京本部ニュースレターNo.77