心の「見えない電池」の話 ~私たちが大切にしているスピリチュアリティーって?~

みなさんは、「スピリチュアル」という言葉を聞くと、どんなことをイメージしますか?

幽霊が見えるとか、ご先祖様の声が聞こえるとか、超能力のような不思議な世界を想像する人が多いかもしれません。でも、私たちが回復のために大切にしている「スピリチュアリティー」は、それとはまったく違うものなんです。

今日は、薬物依存から回復しようとしている私たちが、一番大切に育て直そうとしている「心の話」を書きたいと思います。

当たり前の「ありがとう」を感じる力

私たちが考えるスピリチュアリティーとは、「日常の中で感じる、温かい心の働き」のことです。

たとえば、

* ラーメンを食べたときに「おいしいな、ありがたいな」としみじみ思うこと。

* 困っている友達を見て「大丈夫かな?」と心配したり、優しくしたいと思う気持ち。

* 夕焼けを見て「きれいだな」と感動したり、今の季節の風を感じて心地よいと思うこと。

* 自分が完璧じゃないことを認めて、「ま、ええか」と謙虚になること。

これらは全部、目には見えないけれど、生きていく上でとても大切な力ですよね。私たちは、この「目に見えないけれど大切なものを感じる心」を、スピリチュアリティーと呼んでいます。いわば、「心の健康」や「魂の回復」と言い換えてもいいかもしれません。

薬局には売っていない「薬」

心や体の調子が悪い時、病院に行ってお薬をもらうことがありますよね。

確かにお薬は、不安でドキドキする気持ちを落ち着かせたり、爆発しそうな怒りを静めたりする役目があります。それはとても大切なことです。

でも、世の中には「人を信じられるようになる薬」や「人に対して『ありがとう』と言いたくなる薬」はありません。

どれだけ科学が進歩しても、「人とのつながり」や「温かい感情」を取り戻す錠剤は作れないのです。こればかりは、人と関わり、支え合う中でしか手に入りません。

傷ついた心を、もう一度温める

薬物に頼ってしまった人の多くは、子供の頃にとても辛い思いや、寂しい経験をしています(これを「幼少期の逆境体験」と言います)。

安心して甘えられなかったり、守ってもらえなかったりした経験があると、先ほど話した「人を信じる心」や「感謝する心」というスピリチュアリティーの成長が、そこで止まってしまったり、傷ついてしまったりするのです。

大人になっても、心の奥底が冷えてしまっているような状態です。

だからこそ、私たちはもう一度、社会の中で「ありのままの自分」で生きていくために、このスピリチュアリティーを回復させる必要があります。

つながりの中で育つもの

では、どうやって回復させるのでしょうか?

それは、「人とのつながり」の中にあります。

同じ悩みを持つ仲間と話をしたり、お互いに助け合ったりする。そんな体験を積み重ねることで、止まっていた心の成長がまた動き出します。

「一人じゃないんだ」と感じられた時、初めて人は心から「ありがとう」と思えたり、自分以外の誰かを大切に思えたりするようになります。

薬をやめることは、もちろん大切です。

でも、それ以上に大切なのは、この「人間らしい温かい心(スピリチュアリティー)」を取り戻すこと。

特別な超能力なんていりません。

ただ、きれいな空を見て感動したり、人の優しさに感謝できたりする。そんな「当たり前の幸せ」を感じられる心を取り戻すことが、私たちにとっての本当の回復なのです。

私たちと一緒にクリスマスを過ごしてみませんか?