障害福祉サービスは、支援を必要とする人々が地域社会で自立した生活を送るための基盤であり、その必要性は一刻を争うものです。しかし、現行の「障害者総合支援法」の運用には、利用者にとって看過できない重大な欠陥が存在します。それは、サービス申請日から支給決定までの間、支援が必要な状態であるにもかかわらず、公的なサービスを利用できないという問題です。
受給者証の発行には、最短でも2週間、場合によっては2ヶ月以上を要することがあります。この期間、利用者は必要な支援を待つしかなく、その間に心身の状態が悪化したり、生活が立ち行かなくなったりするリスクに常にさらされています。これは、制度本来の目的である「必要な支援を迅速に届ける」という理念と、現実の運用が大きく乖離していることを示しています。
一方、同様に公的支援を目的とする生活保護制度や介護保険制度では、この問題に対する明確な解決策が講じられています。生活保護制度は、申請日にさかのぼって保護費を支給することが法的に定められています。介護保険制度においても、要介護認定は「その申請のあった日にさかのぼってその効力を生ずる」と明記され、いずれの制度も申請から30日以内の決定が原則です。
合理的配慮の欠如と不当な差別
なぜ、生活保護制度や介護保険制度では「申請日遡及」が認められているにもかかわらず、障害者総合支援法では認められないのでしょうか。この制度の不公平な運用は、単なる手続き上の不備にとどまらず、障害者に対する合理的配慮の欠如であり、不当な差別に他なりません。
障害者が抱える生活上の困難に対し、他の制度の利用者が享受している「迅速な支援の保障」を提供しないことは、障害者の置かれている状況を軽視していることの表れです。これは、障害者差別解消法が求める「合理的配慮の提供義務」に反するものであり、他の支援対象者と比べて明らかに不平等な扱いと言えるでしょう。
私たちは、この問題が単なる行政手続きの効率化ではなく、障害者の人権と尊厳に関わる問題であることを強く訴えます。利用者が支援を求めたその日から、公的な支援が約束される安心感を提供することは、障害者の社会参加と自立を支える上で不可欠です。
この変更こそが、真に利用者によりそい、制度本来の目的を果たすための、不可欠な改革です。私たちは、より公平で、すべての利用者の尊厳を守るための制度運用を、強く求めます。
一般社団法人 回復支援の会 代表 加藤武士
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