本日、奈良県精神保健福祉センターで開催された再乱用防止プログラム「しかーぷ」に参加してきました。
プログラムの中で投げかけられた問いに向き合う時間は、過去の自分を見つめ直し、今の回復への感謝を深める貴重な機会となりました。以下に、自分自身の振り返りを記します。
1. 薬物のために壊してしまったもの
「薬物を使い続けるために、嘘をつき、信頼関係を壊したことがありますか?」
この問いに対し、胸が締め付けられるような記憶が蘇りました。
かつての私は、薬物を手に入れるお金欲しさに、親の大切な貴金属を質に入れ、子供名義の預金さえも勝手に引き出してしまいました。一番守るべき母親や妻との信頼関係を、自らの手で粉々にしてしまったのです。
また、仕事においても同様でした。目をかけてくれていた料理人の師匠や上司を裏切り、無断欠勤や遅刻を繰り返し、居心地の悪さから逃げるように自主退職しました。その結果、料理人になるという夢さえも絶たれてしまいました。
さらに、親友との大切な約束や結婚式でさえ、薬物のために反故にしました。祝いの席に参加することすらできないほど、私の生活は薬物に支配されていました。
2. 「正直さ」への恐れと、仲間の受容
自助グループに繋がり始めてからも、道のりは平坦ではありませんでした。再使用をしてしまった時、私はそれを正直に言えず、ミーティングから足が遠のいてしまいました。
心配して家を訪ねてくれた仲間に対しても、「体調が悪い」と嘘をつき、追い返してしまったのです。「正直に話せば評価が下がるのではないか」「また関係が壊れるのではないか」という不安が、私を頑なにしていました。
しかし、どうにもならなくなり、ようやくミーティングで全てを正直に話した時、私の目に映ったのは意外な光景でした。仲間たちは私を責めるどころか、笑って拍手で迎えてくれたのです。
「よく正直に話してくれた」
その喜びの拍手を受けて初めて、私は少しずつ仲間の中で「正直になること」への恐怖を手放せるようになりました。
3. 信頼を取り戻すための歩み
失った信頼を取り戻すための近道はありませんでした。
ダルクや自助グループの仲間たち、そして今目の前にいる人たちとの関係を壊さないために、私は「精一杯正直になること」を心がけました。使いたい気持ち、逃げ出したい気持ち、弱音も含めて言葉にしていきました。
「目の前の人との信頼を作れなければ、過去に壊した人間関係も取り戻せない」
そう思えるようになり、仲間からの提案を素直に受け入れ、「一緒にやってみよう」という言葉に支えられてきました。
もちろん、一直線に回復できたわけではありません。失敗しては修正し、やりすぎたことを止め、足らないことを始め……その繰り返しの末に、回復への動機が深まっていきました。
4. 安心して相談できる場所
現在、私にはダルクや自助グループのスポンサー、そして快く受け入れてくれる仲間という、安心して相談できる場所があります。
困った時にいきなり相談するのはハードルが高いため、普段から日常の些細な会話を大切にしています。「日頃から話を聞いてもらっている」という土台があるからこそ、本当に困った時にもSOSが出しやすくなると実感しています。
結びに
今日のプログラムを通して、私は過去にいかにして「正直さ」や「安心できる居場所」を自ら手放してきたかを痛感しました。
しかし同時に、過去と向き合い、今こうして薬を使わずに生きられていることへの深い感謝も湧き上がっています。かつての私が恐れていた「正直に生きる」という生き方の中にこそ、本当の安心や心地よさがあるのだと、今、心から実感しています。


