依存症からの回復を歩み続け再使用を防ぐために大切な「HALTS(ハルツ)」についてご存知でしょうか。これは、薬物依存症者が再使用に至る際に経験しやすい感情や思考の頭文字を取ったものです。
HALTSとは?
- H: Hungry (空腹)
お腹が空いていると、イライラしたり、思考力が低下したりして、冷静な判断が難しくなることがあります。 - A: Angry (怒り)
怒りの感情は、衝動的な行動につながりやすく、自分をコントロールすることが難しくなります。 - L: Lonely (寂しさ)
孤独感は、精神的なストレスを高め、現実から逃避したくなる気持ちを引き起こすことがあります。 - T: Tired (疲れ)
肉体的、精神的な疲労は、判断力を鈍らせ、ストレスへの耐性を低下させます。 - S: Serious (深刻)
深刻になりすぎ悩み事を抱え込むと、その苦痛から逃れるために、依存対象に手を出してしまう誘惑に駆られやすくなります。
これらの感情や思考は、誰もが経験するものです。しかし、依存症からの回復を目指す私たちにとっては、再使用の引き金となり得る危険なサインです。
HALTSに気づき、対処する
HALTSのサインに気づくことが、再使用を防ぐための第一歩です。これらの感情や思考が芽生えたら、「自分は今、HALTSの状態にあるかもしれない」と意識することが重要です。
そして、それぞれのサインに対して、具体的な対処法を2つ程度準備しておくことが非常に有効です。
たとえば、
- 空腹を感じたら…
自動販売機を探し、とりあえず、炭酸飲料を飲む。コンビニだとアルコール飲料を購入してしまうリスクが高まるので控えましょう。
すぐに何か軽く食べられるものを用意しておく(例:おにぎり、パン、栄養バーなど)。
誰かに連絡して、食事の約束をする。 - 怒りを感じたら…
深呼吸をして、一旦その場を離れ、コップ一杯の水を飲む。
信頼できる人に、自分の気持ちを話す。
掃除や整理整頓をしてみる。 - 寂しさを感じたら…
グループミーティングに参加する、またはスポンサーや仲間に連絡をする。
気分転換になるような趣味や活動に没頭する。 - 疲れを感じたら…
無理せず休息を取る。短時間でも仮眠をとる。
好きな音楽を聴いたり、温かいお風呂に入ったりしてリラックスする。 - 深刻になり過ぎてしまう…
一人で抱え込まず、支援者やスポンサー、仲間に相談する。
問題を紙に書き出し、客観的に整理する。
今日一日、断酒、断薬の継続のため取り組んでいる自分を肯定的に評価する。
HALTSは、あなた自身の心と体の声です。これらのサインに耳を傾け、適切な対処法を実行することで、再使用のリスクを大きく減らすことができます。自分自身を大切にし、回復への道を力強く歩み続けるために、HALTSへの意識と準備を日々の生活に取り入れていきましょう。


