年管管発 0304 第6号令和3 年3 月4 日
日本年金機構年金給付事業部門担当理事 殿
厚生労働省年金局事業管理課長(公印省略)
国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づく違法薬剤の使用に係る給付制限の取扱いについて
国民年金法(昭和 34 年法律第 141 号)第 70 条、厚生年金保険法(昭和 29 年法律第 115号)第 73 条の2等の規定に基づき、違法薬剤の使用により、障害若しくはその原因となった事故を生じさせ、又は障害の程度を増進させた者の当該障害については、これを支給事由とする給付は、その全部又は一部を制限しているところである。
今般、これまでの障害認定の事例等を踏まえて、違法薬剤の使用に係る給付制限の取扱いを下記のとおり改めて整理したので通知する。
記
1 障害基礎年金、障害厚生年金等の新規裁定請求、再認定、額改定請求又は支給停止事由消滅の届出(以下「新規裁定請求等」という。)に際して、請求者又は受給権者等から提出された医師又は歯科医師の診断書、検査結果その他これに類する書類(以下「診断書等」という。)を審査した結果、新規裁定請求等に係る障害(以下この1において「対象障害」という。)又は対象障害の原因となった事故が違法薬剤の使用によって生じたものであることが医学的に認められた場合は、国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づき、不支給、支給停止、額改定請求非改定又は支給停止事由消滅不該当の決定を行うこと。ただし、対象障害について、違法薬剤の使用によって生じた障害と違法薬剤の使用と関わりなく生じた障害が併存することや、違法薬剤の使用と関わりなく生じた障害が違法薬剤の使用によって程度が増進したことが医学的に把握できる場合にあっては、違法薬剤の使用と関わりなく生じた障害について、障害の程度を審査し、障害基礎年金、障害厚生年金等の新規裁定請求等に係る判断を行うこと。
なお、提出された診断書等の内容等から、過去に違法薬剤の使用歴がある場合であっても、対象障害又は対象障害の原因となった事故と違法薬剤の使用との間に直接の起因性が医学的に認められないときや、故意の犯罪行為又は重大な過失による障害ではないと確認された場合は、国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づく給付制限の対象にならないものであること。
2 障害基礎年金、障害厚生年金等の額改定請求又は支給停止事由消滅の届出に際して、受給権者等から提出された診断書等を審査した結果、額改定請求又は支給停止事由消滅の届出に係る障害(以下この2において「対象障害」という。)が違法薬剤の使用によって増進したものであることが医学的に認められた場合は、国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づき、額改定請求非改定又は支給停止事由消滅不該当の決定を行うこと。
なお、提出された診断書等の内容等から、過去に違法薬剤の使用歴がある場合であっても、対象障害の増進と違法薬剤の使用との間に直接の起因性が医学的に認められないときや、故意の犯罪行為又は重大な過失による障害の増進ではないと確認された場合は、国民年金法第 70 条、厚生年金保険法第 73 条の2等の規定に基づく給付制限の対象にならないものであること。
3 請求者又は受給権者等から提出された診断書等により違法薬剤の影響が窺われるものの、それのみでは1及び2に係る判断を行うことが困難である場合にあっては、日本年金機構は、診断書作成医に対して、新規裁定請求等に係る障害(以下この3において「対象障害」という。)と違法薬剤の使用との間に直接の起因性があるかどうかを照会すること等により、必要な情報を収集した上で、1及び2に係る判断を行うこと。
なお、診断書等のみでは1及び2に係る判断を行うことが困難である場合において、診断書等を通じた障害の程度の審査の結果、障害状態不該当であることや額改定に該当しないことが確認されたときは、上記の情報収集を要することなく、不支給、支給停止、額改定請求非改定又は支給停止事由消滅不該当の決定を行うこととして差し支えないこと。